非常勤講師(筆者は小学校)は、提示された条件を全て飲まなくてはいけない、なんてことはありません。むしろ、正規職員と違って自分で色々とやりやすい条件を交渉することができます。
そのためには、学校での初回面接(校長面接)でしっかり自分の希望を伝えることが大切!
「勤務条件」と「勤務内容」に分けて、今回の記事では「勤務条件」について解説します。
1.勤務開始時間と終了時間
2.コマ数に対する勤務時間数
3.やらなくていい内容の確認
勤務開始時間と終了時間
非常勤講師の良いところは、自分で何時から何時まで働くかを決められるところ!
私は、「保育園の送りがあるので…」という理由で9:15出勤にしてもらいました。
当初、自治体の面接で9時以降が希望と伝えたところ最初は9:30出勤を提示されましたが、それだと2校時目の勤務開始まで5分しかありませんでした。
授業開始まで5分しかないと満足な準備ができないと思います。
勤務開始を9:15に変更してもらうことはできますか?
保育園の送りも調整します。
このように言えば問題なくOKが出ます。
学校は、企業のように「利益を得る」ことが優先ではなく「授業優先」です。要望を出す時は「授業」を中心に考えれば、育児以外の理由でもほぼ受け入れてもらえるでしょう。
朝が苦手な人は、勤務開始時間を遅めにしてもらえば、冬の出勤も苦になりません♪
コマ数に対する勤務時間数
過去に塾のバイトをしていた時は、時給ではなく1コマあたりの給料で、「教材準備や片付けの時間がないじゃん!」と思っていました。
ですが、非常勤講師は「1時間あたり」の「時給」です。
だいたい小学校の1コマは45分なので、プラス15分の授業外の時間があります。
ですが!これだけでは当然足りません!
授業コマ数×1.5時間が勤務時間(例:8コマ12時間勤務)になるように交渉します。
自治体によってはコマ数×1.5時間で元から設定しているところもあるようです。なんて良い自治体✨
それ以下だと、せっかく非常勤講師になったのに持ち帰り仕事(残業代なし!)になる可能性が高くなります。
では授業そのもの以外に何があるのでしょうか?
- 授業前後に「せんせ~、今日は何やるの~?」「きいてきいて~」と来てくれる子どもとコミュニケーション
- 教材のセッティング(ICT機器、板書の準備、実験器具出し、図工の材料並べなど)
- 授業後に提出物が出ていない児童への個別対応
- 成果物の評価
- テストの丸付け
- 成績入力
- 欠席児童を休み時間に呼んで補習
- 次回授業の準備、教材制作
はい、15分では到底無理なことがお分かりいただけると思います。
週のどこかに空きコマが1つあるからといって、例えば図工や家庭の教材準備には時間がかかりますし、他の教科でもプリントの印刷など別の日に使う物を全てそこで準備はできません。
交渉例としては
この勤務時間だと、〇曜日に準備の時間が全くとれません。
前日の授業後は15分後に退勤でいいので、翌日は授業前に30分は欲しいです。
など、ここは毅然と言ってください。
当日に全く準備の時間がない、ということは、時間外労働を前提としていることになるからです。
交渉なので、自分が主張するだけではなく相手の主張も受け入れる姿勢も大切です。
ですが、これに関しては理不尽だと、相手に理解してもらうことが大切です。
この時間割では、私の力では時間内に準備・評価ができません。
初めから、家に持ち帰っての時間外労働が前提になってしまいます。
パート勤務なので、残業代が出ないのならそれは避けたいです。
申し訳ありませんがもう少し受け持ちのコマを減らしていただけますか。
ぐらい言っても良いと思います。今はどこも人手不足ですし、ぜひ勇気を持って主張してくださいね。
あくまでも、喧嘩腰ではなく、正論を丁寧な姿勢で伝えるようにすると理解してもらえますよ。
自分の勤務時間が、「コマ数×1.5時間」になるように、「授業の準備と評価」という根拠を元に交渉しましょう。
やらなくていい内容の確認
非常勤講師(会計年度職員)は、採用理由が決まっています。
そのほとんどは、授業を受け持つことです。
そのため、人がいないからといってなし崩しに正規職員と同じ業務を任されて断り切れないと、結果として授業の準備と評価ができず、仕事が持ち帰りになります。
そんな風に嫌な思いをしなくて済むように、初めにやらなくていい次の内容を確認しておきましょう。
①給食指導…児童の安全に関わることで授業とは関係ないので指導はできない。
②登下校指導…こちらも授業とは関係ないこと。
(③元から設定された空きコマに他クラスの補填に入ること)
これらは、これまでの「勤務時間」に関する内容に比べて本来は周知の事実なので、あまり最初から主張しすぎると角が立ちます。
そのため、①②は合わせてやんわりと
給食指導と登下校指導(勤務時間によっては聞かなくてもOK)はしなくてもいいんですよね?
と聞いておくぐらいがいいと思います。
③の補填(他クラスの担任が不在の時にそのクラスに入ること)については、他の正規や管理職・フルタイムの常勤職員がいる時はその人たちが行くべきです。
それで職員室が空になったら、その時の電話対応ぐらいなら社会人としてやります。
ですが、他の管理職(教頭・副校長・教務)がいるのに補填を頼まれたら、迷わず
どうしても人がいなければ仕方ないのですが、この時間がなくなると授業の準備ができず持ち帰りになってしまうんです。どうしましょう・・・
ぐらい言っていいと思います。
一度無条件でOKしてしまうと、「この人は何を頼んでも大丈夫」と思われてしまいます。
残念ながら、学校というのは今まで「時間外労働」という概念がなかったので、非常勤講師の「時間給」という事情まで考慮する習慣がない人がいます。
ただ、私は上記のように伝えたところ、どうしても人がいなかったようで、その分自分の好きな時に1時間早く帰ってもいいと言われましたので、1度だけ受けたことがあります。
また、そう言ったからと言って関係が悪くなることもありませんでした。
むしろ、「しっかり主張できて頼りになる人」と思ってもらえると思います。
次回は、スムーズに勤務がスタートできる「勤務内容」についてのチェック項目を紹介します。
今回は、雇用期間を通して重要になる「勤務条件」について3つのチェックポイントをご紹介しました。
非常勤講師は、授業のある日しか出勤できません。
ですので、初出勤当日に時間のゆとりはありません。
次の記事では、スムーズに勤務をスタートするために、そして無駄に無給で学校に行かなくても良いように、面接の段階で校長先生に見せて教えてもらったほうが良いチェックリストをご紹介します。